医学は 知識 を基本としますが気導術は 心 を基本とします。 瀬戸口療整院
睡眠中に呼吸停止の状態を繰り返す睡眠時無呼吸症候群(sas)は心臓病を悪化させる
原因の一つであることが、吹田市立吹田市民病院(大阪市吹田市)の研究で分かった。
睡眠中の体内の酸素不足が動脈硬化を抑える善玉タンパク質「アデイポネクチン」の分泌
低下に関わり、夜間に心筋梗塞など重症の心臓病が発生しやすくなるとみられる。
SASは、体重の減量、睡眠時の酸素補給などの治療で改善できるため、睡眠の質、
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の有無など早めの健康チェックが大切だ。
研究にあたったのは中川晴彦・循環器科部長、樫根晋・内科医長ら。
中川部長は、夜間に心筋梗塞などを起こして緊急入院する患者がSASを合併している
ケースが多いことから調べた。
心筋梗塞など冠動脈の病気は、動脈硬化で血流が防げられて起きる。
それを修復するアデイポネクチンの量が変動しているのではないかと考え、血液検査で測定。
その結果、重症のSAS患者ではアデイポネクチンが低下しているうえ、夜間に大きく減少。
内臓脂肪の蓄積量を示す指数(ウエストとヒップの周囲径の比)でみると、内臓脂肪が多い
SAS患者ほどその傾向がつよかった。
内臓脂肪の蓄積に加え、無呼吸状態の酸素不足によってアデイポネクチンの分泌量が減り、
血管の修復が十分にできなくなるというわけだ。
マウスやその培養細胞を使った実験では、低酸素状態にするとアデイポネクチンを作る
遺伝子が働かず、製造されても細胞外にでなかった。
別の実験では、低酸素の悪影響が皮下脂肪よりも内臓脂肪に大きく出ることが分かった。
また、冠動脈疾患(心臓病)になるリスクを持つ患者について行った心臓カテール検査では、
診断基準でメタボとされる内臓脂肪蓄積の面積(100平方センチ以上)でSASを併せ持つ
患者は、30人中28人(93%)に高度の冠動脈狭窄を持っていた。
内臓脂肪が基準未満でSASもない人の高度の狭窄は7人中一人(14%)だった。
中川部長は、「SASとメタボが合併すると夜間に心筋梗塞を起こしやすいだけでなく、
動脈硬化が悪化しやすく、アデイポネクチンの分泌量の変化が関係していることが示せた。
SASやメタボの治療でアデイポネクチンの分泌量を増やせれば、心臓病が防げる可能性も
ある」と話す。
一方、樫根医長はSASと肥満などが原因の2型糖尿病との関係を調べた。
教育入院した患者40人の内SASがあるのは31人で全体の約8割。
これは健常者を含めたSAS有病率と比べてもかなり多い。
SASによって呼吸が停止する頻度を調べたところ、内臓脂肪の蓄積量の増加に比例し
高くなっていた。
逆に教育入院によって内臓脂肪が減少すると、頻度が低くなっていた。
樫根医長は「内臓脂肪を減らすことでSASも糖尿病もよくなる。
いびきは自分では分からないので周囲の指摘をよく聞いて受診するとともに、内臓脂肪は
比較的容易に減らせるため体重3キロ減など目標を立て、確実に実行してほしい」
としている。