医学は、知識を基本としますが気導術は心を基本とします。 気導術 瀬戸口療整院
日本人は薬が大好きです。
年を取るに比例して病気が増えます。腰が曲がり、耳が遠くなり、血圧が上がり、
尿が近くなり、便秘になる。この当たり前の現実をまず薬で解決しようと考えます。
医療は縦割りですから、20もの医療機関の診察券を持っている人もおられます。
仮に80歳で5つの病気があるとしましよう。
5つの医療機関で各4種類の薬をもらうと、5×4で簡単に合計20種類の薬になります。
中には30種類もの薬を抱きかかえて受診される人もいます。
「先じゃさん生、どの薬を飲めばいいのですか?半分に減らしたいのですが、適当にみつくろって
ください。」 初めて出会って、いきなりそんな依頼をされる患者さん。
気持ちは分かりますが、元来、私にそれぞれの薬の中止を支持する権限はありません。
薬の継続、中止、減量はそれを処方された医者に責任があります。
従ってそれぞれの主治医に相談するように説明します。
しかし「それができへんからここに来たんやないの」と、反対に怒られる始末です。
そもそも日本人はなぜ、かくも薬好きな国民なんでしょうか。
生活習慣病は、1に食事、2に運動、3に薬という大原則を、患者も医者も忘れ過ぎだと
思いませんか。
もっと「養生」を大切にして、自然治癒力を高める努力をすべきです。
一方、薬が極端に嫌いな患者さんに困ることもあります。
そんな患者さんは、そもそも医者には来ないのですが、よほど困ったので来られたのでしょう。
相当進んだ病気が見つかります。
やむを得ず最も大切な1種類の薬を出しますが、それを飲まない患者さんがいます。
これも困ります。薬に対する不安が極端に強い患者さんです。飲まないのも怖いし、
飲むのも怖い。結局、禅問答のようになり、「いったい、どっちやねん?」と思います。
薬を飲むか飲まざるべきか、常に激しく揺れ動いている患者さんがいます。
医者の側にも責任があります。
1つの病気に対して複数の薬をだしがちです。
内科は、もちろん、精神科や整形外科も薬が多いと感じます。
高齢者は薬の数に比例して、転倒のリスクが高くなることが知られています。
各診療科とも、本当は1剤でいくべきですが、いきなり2~3種類を処方する場合が多いです。
医学が発達すると医学会のガイドラインが発表され、1つの病気に対して複数の治療薬が推奨されます。
医者はガイドラインに沿った治療を心がけるので複数薬の処方になりがちです。
そこに胃薬や整腸剤が加わると、すぐに数種類になります。
1つの診療科だけならそれでいいのですが、5つも6つもの医療機関にかかるので、どうしても
計20種類以上になってくるのです。
それぞれの診療科としては医学的に正しくても、一人の人間に対する投薬としては、とても
尋常ではない数になるのです。
まさに縦割り医療の弊害です。
どうすれば多剤投薬にならないのか?
通院する医療機関数を絞り各医療機関で「薬の種類を最低必要限にしてほしい」とお願いするしか
ありません。さらに、できるだけ守備範囲の広い、家庭医や総合医を志向する医者を
「かかりつけ医」として選ぶことも一法だと思います。
- 産経新聞より -