モンマルシェ時友店さんより北へ1分の体調不良改善なら 気導術 瀬戸口療整院
宮城県石巻市の避難所で出会った一人の女性が強く印象に残っている。
つらかったこれまでの人生を振り返る一方で、津波に流されながらも間一髪で
助かったことを語る時の笑顔が忘れられない。
一人っ子だった本間聖子さん(48)は中学生のころに両親が離婚した。
その後男手一つで育ててくれた父親は、20年前に病死した。
その後に結婚したが、ほどなく離婚。
病院の売店で長年続けてきた販売員の仕事も、交通事故で肋骨を折ったことを
きっかけにやめた。それからは祖母の介護をしていたが、祖母も3年前に他界。
身よりもなくなり、生活保護を受け、石巻市内のアパートで細々と暮らしていた。
そんな中で遭遇した震災。地震後の津波を心配したが、「来ても床下浸水ぐらいだろう」
と甘くみていた。
しかし、床上に浸水し始めて間もなく、窓に何かがぶつかりガラスが割れた。
大量の泥水が流れ込み、みるみるうちに天井まで達した。その瞬間、「生きていても
どうせ私は独りぼっち。いっそこのまま・・・」と思ったという。
泥水を飲みながら気を失った。
気が付くと、角材を浮き輪代わりにし、一面の汚水の上に浮かんでいた。
右手に怪我をしていた。そのまま濁流に流され続けたが、山が壁となり止った。
大声で助けを求めると、山の上から見知らぬ中年の男性が駆けつけてくれた。
「うれしかった!本当に!」
全身ずぶぬれだったが、男性は車の中で暖をとらせてくれた。
エアコンから出る風の温かみは忘れられない。
その後、病院まで運んでくれた自衛隊員。右手に丁寧に包帯を巻いてくれた医師。
避難所で知り合った友人。そして今生きている自分・・・。
「人って温かいなって心から思った。この世からいなくなろうと考えた自分を
忘れたい!」と語る本間さん。
震災前まで長らく笑うことがなかったというが、取材を終えて避難所を去る際、
「また、石巻へ遊びにきてね!!」と ”満面の笑み” を見せてくれた。
産経新聞より (社会部発) 京都総局 桑村朋